ニコラス・G・カー, Nicholas Carr, 村上 彩 ¥ 2,100
クラウド化(=ITのプラント化)がもたらす予期せぬ社会の変化とは?
我々は道具を創り しかして道具が我々を創る
IT業界必読本
クラウド化とは何か?
レビューは賛辞の嵐である、、理解できぬ私は滅ぶのか?

まず最初に非常に素晴らしい本であると。
クラウドコンピューティングという用語を使う前に読んでおく本だと感じた。

この本の中ではクラウドコンピューティングという用語は飛び出してこなかった気がする。これに近いのはワールドワイドコンピューティングだろうか。ですので、クラウドコンピューティングにつてい隅から隅までどんな変革が起きるのか解説して欲しい人には物足りないかもしれない。

読み終わった感想として「クラウド化する世界」という邦題は少し適切ではないのではないかと思う。なんとなく変わっているのだなぁ~というようなあやふやな感じではなく、実際に今ここで起きている変化に立ち会っているのだから「THE BIG SWITCH」という向こうのタイトルの方がしっくりきた。もっともこれはクラウドコンピューティングという言葉に過度の期待をしている自分の考えなので:p

それでも、内容は素晴らしい。
言うならば、クラウドコンピューティング教の宣教師が全く新しいものを説いた感じ:-)
それをどう解釈するかによって意見の違いがあるかもしれない。

 

今起きている変化(クラウドコンピューティング化)は、20世紀初頭に登場し一般化した「電気」にたとえられています。情報発電所というのは言葉が少し違いますが、コンピュータのリソースをサミュエル・インサルが発明した発電所になぞらえています。
今では当たり前のインフラとなっている電気ですが、考えてみれば電気が発明されて一般化したのはそれほど昔のことではありません・・・(火の発明に比べれば)。便利なものは浸透が早いですから、クラウドコンピューティングという考え方も結構すぐに浸透するかもしれません。

現代社会は自家発電(自社でサーバを運用・管理)が当たり前ですが、それが発電所(巨大なデータセンターにアウトソース)から提供されるサービスに変わったとしても、必要なものは電気(この場合は情報・データ)が安定供給されることのなのでどちらを取るかと言うことでしょう。

インフラの面でも利用者側の端末のチープ革命によって、ネットブックのような非常に安価な端末が登場しているわけです。さらに、高速なネット回線もインターネットバブル時に大規模に整備された結果、安価にかつ安定して利用可能となりました。
もっとも、これまでのように何かのソフトをインストールしてすべての作業をローカル環境で処理しなければならなければ、ネットブックのような端末は出てもすぐに消えてしまっていたでしょう。スマートフォンなども同様な流れではないかと思います。

 

ただ、盲目的にクラウド化する世界に対して希望を持っているだけではなく、そうなることにはどの様な障害があって、これまでとは違うどの様な問題点があるのかを明確に書かれているのもポイントが高い。美酒に酔わない感じは素晴らしいのだが、傍観・悲観的な感じをうけた。
個人的には、もう少し熱狂しても良いかも:-)

 

その当時この動画の持つ価値なんて分かりませんでしたが、今になって思うとこれは本当にすごい事なのだなと…